もしMOTHERに空腹という概念があったとしたら 僕は間違いなく、餓死していただろう。
僕はテレポーテーションを使い、イースターという 街から線路沿いに歩き、北の砂漠をさまよっていた。
この砂漠はとても広くて、 幾ら歩いても全容を解明した気がしない それゆえ、最初に訪れたときは、偶然見つけた サボテンからメロディをゲットした以外は、 遺跡のようなものに立ちふさがるロボットに 叩きのめされたぐらいで、他に特にやることもなく 通り過ぎていただけだった。
ひたすら歩いていると、今後僕のなれの果てかと 思わせるような、砂漠の真中で力尽きた冒険者の 骨が転がっている。 その骨は、なんだかとてもフレンドに話し掛けてくる。
死んでしまった骨が話してくるというのも不思議な話だが 彼らは特にうらみつらみを述べるでもなく、 僕らにアドバイスをしてくれる。
さらにひたすら歩いていると、 砂漠の真中にオアシスがあり、そこには飛行機と テント、そして戦車が置いてあった。
どうやら、飛行機の周回サービスを行っているようだ。 半券を10枚集めると戦車に乗せてもらえるらしい。 1回で3人分。これで3枚の半券。つまりは4回乗れば、 戦車体験をさせてくれるのだということだ。
まずは一番安いコースから周回する。 こういうところで、性格が出てしまうが、 まぁ、やはりここは一番最初は様子を見るのが妥当だろう。
飛行機に乗り込むと、軽快な音楽と共に、空にはばたき 砂漠をグルリと一周する。途中アクロバティックな飛行も 見せたりしつつ、スゥと着地して元の位置に戻ってきた。 これはちょっと期待していた以上の出来だった。
僕は財布の中身を確認して、 今度は一番高いコースに乗る事にした。
今度は、まっすぐ突き進み、砂漠を越えたかと思うと、 今まで冒険してきた町並みをぐるりと見渡せるほど、 長い距離を回っている。 ついにはマイホームの上まで飛んだのだ。 僕は思わず、部屋の中を確認してしまったのだが、 まぁ、僕が上を飛んでいるなんてことは母親や妹たちは 知らないので外にいる犬を見るだけに留まった。
結局僕は、真中のコースとさらにもう一度一番安いコース に乗り(ここでお金が尽きてしまったのだ)、
半券を12枚手に入れて、飛行機屋のおやじさんに許可を貰い、 どでかい戦車に乗り込んだ。
ゴーゴーという音を立てながら、ゆっくりと戦車は動き出した。