僕にとって苦い思い出のある日の名前の この街は、なんだか僕の住んでた街によく似ていた。
僕は地元の友だちを思い出していた。 中学に入ると、例によって、結構な数の友だちが いわゆる不良になったし、ワルだったけど、 彼らはとてもいいやつだったし、付き合いは 変わらなかった。
僕の知ってる不良たちは、なぜか、勉強が出来た。 でもそれは自分の興味ある分野だけだったり 自分の得意な分野だけだったりしたので、 とても偏っていたのだけれど、その科目においては 学校内のトップ10に入るほどだった。
高校に行かなかったやつもいっぱいいたし、 働きながら定時制に行ったやつもいっぱいいたが、 僕は、自分にはできないなと彼らを尊敬したし とてもすごいと思っていた。
高校に入ると、僕は色々遊びをしていたが、 やっぱりお金がなくなるのでアルバイトをしていた。 夕方からの時間は、遊ぶ時間に当てたいと思っていたので 朝の新聞配達をすることにした。
その頃から視力が落ちていた僕は、とても目つきが悪かった。 ある朝新聞を配っていると、アゲハンの自転車に乗って 遠くの高校に通学している不良に絡まれた。 ガンをつけてんじゃねぇと。 僕は、目が悪くてよく見えないんですよと説明し、 それと同時に、短ランボンタンを身にまとった小柄な彼を見て 根はいいやつなんだろうなぁと。ほほえましく思っていた。
この街には、大人と子供の中間で、妙にワルぶってるけど 根はいいやつで、大人ぶってるけど大人たちを毛嫌いして、 そんな思春期な不良たちのいっぱいいる街だった。
そんなこと思い出しながら、僕は"この街"をうろついた。 そこで僕はダフ屋にかつがれたし、 始めてはいる若者の遊び場にドキドキしたし、 青臭い青春を堪能したし、 女の子の色気にだまされたし、 初めてのブタ箱で大人のずるさを味わったりした。
僕はディスコで女の子に奢ってもらったビールを飲んで、 中学の時、運動会の打ち上げで、応援団の不良どもや かわいい女の子たちと飲んだビールの味を思い出した。
あ、だめですよ。未成年は!