MOTHER'S ROCK

Rock
Illustration by Baobab

ホイポイカプセル

僕をモノが捨てられないタチである。 僕の部屋に来た事のある人は知っているが、 本が散乱し、書類が山積になっている。

部屋を片付けるために、 モノを捨てるための技術を書いた本も買ったし、 インテリアの雑誌も買ったりした。

本末転倒だが、その本や雑誌も部屋に積まれて、 部屋を煩雑にさせる要因になっている。 毎度、どうにかしなければならないなと思いつつ、 忙しさにかまけてほったらかしである。

もう使わないであろう、機械やおもちゃの数々。 もう読まないであろう、雑誌や本の数々。 もう必要ないであろう、論文や仕事の書類の数々。 どうにかして、持っているものを減らしたいのだが。

それは、ゲームの中でも同様で、 僕のアイテム欄はいつもなんだか分からないもので いっぱいになっているのだ。

新しい街に着くと、なにやらイベントで使いそうなものを 街の住人が渡してくるのだが、 なにやらわからないでとりあえず持っている。

ついにアイテム欄がいっぱいになったので、 一大決心をして片付けることにした。

まず、色々なダンジョンで手に入れたアイテムの性質を調べる。 全部説明を見て、効果を確認し、 店で売ってるのを見たことあるものは、 お金で解決できるであろうと、 大人的判断で、積極的に使ったり 捨てたり、売り払ったりしてみた。

そこで残ったモノを見てみると、 カプセルと呼ばれるものが幾つか残った。

これは、今まで店で見たことがなかったので 取っておいたのだが、意を決して使ってみたのだ。

なんと、基本ステータスがアップした。

ずっと1回の戦闘中しか効果がないものだと思っていたのだ。 なので、買い物袋ためる母親のように、 いつか、来るべき日に備えて取っておいたのだ。

しかし、取っておいた事はむしろ無駄だったのだ。 さっさと使ってしまえば、その分戦闘が楽になっていたのだ。 そして、ダンジョンで泣く泣く拾うのを諦めたアイテムも どんどん拾えたはずだったのだ。

家のモノが置いてあるスペースにも家賃がかかっているように、 アイテム欄の空き自体もそれ自体が価値のあるものなのだと、 改めて認識した。

そうして一通り、アイテムを片付けて、 綺麗さっぱり、とてもスガスガしい気持ちで、 新たに冒険にでることにした。

新しい街には新しい気持ちで望むのがいいのである。

意気揚々と街の北を冒険し、一軒の家に訪れ、 そこにいた教授に落し物を渡した。

その教授、カバンいっぱいにアイテムを詰めるのである。 いやいや、そんなにいらないからと言っても、 いやいや、遠慮するな、どんどん持ってけと。

まいった。 またカバンがいっぱいである。 フリダシに戻るとはこの事である。

というわけで、僕は今、 実家の妹に会うべく帰省中である。