電車に乗っている。初めての電車だ。
余り現金を持ち歩かない主義の僕は、 キャッシュカードで最低限のお金を引き出し、 今、初めて聞く街に向かって電車に乗っていた。
文明の利器というものはすごいものだ。 歩いていくと、 あれだけ時間のかかった道のりが あっというまに隣町だ。
以前、友人と誰かのイベントか何かで新宿辺りで 遊んでいたことがある。 帰りの路線が一緒の彼と、終電ギリギリでダッシュしていた。
結局自宅の最寄駅まで行く電車は終了しており、 途中の駅までしかいかない電車に乗り込んでいた。
その頃僕らは学生だったので、 オールをするお金もなければ タクシーで帰るお金もなかった。
結局途中の駅で降り、 そこから自宅まで二人で歩いて帰る事にしたのだ 既に1時をまわっていたので、 始発まで待ってもよかったのだが、 時期は真冬。通りのコンビニの駐車場には、 巨大なユキダルマが居る始末。 寝たら死ぬぞ。と冗談にならない言葉が頭によぎる。
結局、クタクタになりながら、 自宅に着いたのが4時半頃。 そろそろ始発電車がうごきだす時間。 その時、改めて感じたことがあった。
「電車ってすげーな」
というわけで、 文明の利器のすごさを改めて体感した僕は 意気揚々と新たな街に繰り出しているのである。
それにしても、あの電車、 どっかのヒーローの家に似てません?