MOTHER'S ROCK

Rock
Illustration by Baobab

トレイントレイン

僕は今電車に揺られている。 休日ちょいと遠出をして、今家に帰宅途中なのだ。 オーディオプレイヤーの電池も切れたので、 さっそく、SPに繋ぎ変えて、スイッチを入れた。

今、なんとか、「コイツ」を仲間にして、 北の工場にいる。

実は、仲間にしたところで、その後何をしたらいいか 分からなかったので、ウロウロしていたのだが、 例によって、マザー先生に助けを請うたのだ。

どうやら、次の街に行くには、 電車に乗らなくてはいけないらしい。 それには道を塞いでいる岩を、どうにかしないといけないらしい。 僕は岩を壊しそうな道具を、色々使ってみたりしていたのだが そういうことではないとのことなのである。

そうと決まれば、北の工場に向かうのである。 今までのMOTHERのダンジョンは割と単純で 簡単に抜ける事が出来たので 今回もそうだろうと、軽く舐めてかかっていたである。

僕はなんとか工場の奥まで向かいイベントをこなした。

しかし、本当の闘いはここからだったのである。

次の乗換まで、後3駅なのだ。 駅に着くまでに、なんとか街まで戻り、パパに電話して セーブしなくてはならないのだ。

工場の出口を目指す。 しかし、この工場はとても単調で、どこも同じに見える。 はしごを上り、扉を開ける。 違う。この部屋ではない。

敵が現れる。相手にしてる場合ではないのだが倒した方が 早い気がして倒していく。

後2駅。見つからない。 電車の中なのでマップも分からない。 グルグル回って奥まで来たので、帰り道が分からない。 パンを使って入り口を記憶しておけば良かったと 今更ながら後悔をする。

後1駅。見つかった! しかし早く街まで行かなければ、 ここでセーブする事は出来ない。

別に降りてから、セーブポイントに着くまで ホームでやればいいではないかと思うのだが、 なにか、子供の頃、自転車に乗りながら、 このまま、ペダルを漕がないで、 家まで着いたら僕の勝ち。みたいな 誰とでもない勝負をしているので、 負けるわけにはいかないのである。

もっとも子供の頃のその勝負は、 負ける直前に、今のは練習。ここから本番。 ということになるので負ける事はないのだが。

車内にアナウンスが流れる。 あと少し。デパートが見えた。 あとは公衆電話の受話器を取り、 パパに連絡をするだけだ。

よし。勝った。僕はこの勝負に勝ったのだ。 僕はとても清々しい気持ちで、セーブをし電源を切った。

そして電車を降り、乗り換え、 またMOTHERの電源を入れる。

僕は今電車に乗っている。 そして、僕の分身も今電車に乗ったところだ。