僕は今、地面に刺さった丸いモノの前にいる。 僕はこれがなんだか分かっている。 なぜならそれにはこう彫られているからだ、
「てつくすの血と肉。勇敢なフライングマン戦士、ここに眠る」
僕はマジカントに着くと、 街の探索もそこそこに表に出ていた。 街の北に向かい、ぽつんと立った建物に入った。 その建物には、同じ姿の兄弟が住んでいて、 僕が話し掛けると一緒に旅に出るという。
ここで違和感を感じた。 前回、少女が仲間になったときは、リストに表示され、 彼女に指令を出す事ができた。
今度は違う。僕は職業柄、 これはバグかしら?と首をかしげた。 戦闘に入ると彼は積極的に攻撃を仕掛ける。 こりゃぁいい。彼は成長すると強いかもしれない。 僕はそう思い、戦闘を続けた。
彼はダメージをくらう。 なぜか敵の攻撃は、僕よりも彼へと向かう。 まるで彼が僕の前に立ちはだかってるかのように。
彼は倒れた。僕は何もできなかった。 復活させる場所ドコだったかな。お金あったかな。 そんなことをすぐさま考え、 戦闘画面から通常画面に戻る。
え?
彼がいない。 もしかして…。と僕は考えをめぐらす。 えええええええええええええええええええええええええええええ。 そんなぁ…。僕は落ち込んだ。 不意のショックを受けてしまった。
まいった。
思わずそうつぶやいてしまった。
ある男の言葉が浮かぶ 「会わなきゃ別れもないわけだ」
そして、セーブをするために街に戻り、 また、街の北に向かった。
僕は今、地面に刺さった丸いモノの前にいる。 僕は、歩きながらこれを見た時、卵だと思った。 今も、これは卵だと思う。
強く願う。これは、卵だと。 勇敢なる戦士は、新たなる生命に向けて 今、力を溜め、時を待っているのだと。
僕にとっては、これは卵なんだ。
僕は言うだろう。フライングマン。また会おうと。
「てつくすの血と肉。 勇敢なフライングマン戦士、てつくすの心に宿る。」