MOTHER'S ROCK

Rock
Illustration by Baobab

ライトゲーマー

僕がゲームボーイにハマってた頃、 僕はテニスプレイヤーだった。 朝っぱらから、周りの世界が歪むぐらいまで。 ラケットをフリフリ、ボールをウチウチ、 ネットをバシバシ、ジュースをゴクゴク。

そんなこんなで3年間。 僕の肌は真っ黒になり、僕の右腕は太くなっていた。

そんな僕はライトゲーマー。 クリアする事にはこだわらなず、 右手を震わせ連射をし、 暗闇の中に光をともす。

さて、やってきました。新しい世界。 街をフラフラ歩き、店を覗きます。 MOTHER。アイテムがどういう役目を果たすのか、 見当がつきません。 Lv5まで、バットが装備できるものだと知らずにきた僕。 装備した時の攻撃力の違いには愕然としました。

それでも学習しない僕は、 着の身着のまま、ボロいバットを右手に持って、 ここまでやってきました。

一通り街を歩き尽くし、外に出ます。 外に出るといっても、MOTHERでは、他のRPGとは違い、 街がフィールドと直結していて特に区別がないようです。

フラフラ道を歩いていると、いきなり、戦闘画面に入り、 なにやら固そうな動物とリアルバウトです。

グハッ。 「てつくす。しんでしまうとはなにごとだ。」

あら。ゲームが違いますが、そういうことです。 戦闘不能になってしまいました。

あっさりと敗北してしまった僕に、 ここで空からゲームの神様の声が聞こえます。 今まであまり使ったことのなかった、 PSIって能力を駆使すればいいんじゃないかね? おーけーおーけー。そういうことかよ。 と神様に少々失礼な言葉で返事しながら、 改めて街の外にフラフラします。

あらわれました。敵が。…がさっきと違います。 おいおいマテマテ、おちつけよ。 こっちが超能力を使う前に、向こうの特殊攻撃をくらいます。

マテマテ、くらっちゃったよ。 おいおい何だ、こっち与えるのダメージ1って。

「てつくす。しんでしまうとはなにごとだ。」

またもや、ドコからか声が聞こえます。 そしてまた、改めてスタートです。

経験値は減りませんが経験は増えました。 こうやってみんな成長していったのですね。

あ、経験値は減ってないけどお金は減りました。